名前 | 佑喜 (ユウキ) |
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職業 | 槍使い |
生年月日 | 1018年 8月 〜 1020年 4月(享年1歳8ヶ月) |
当主経験 | 3代目当主 |
メモ | 初代当主の第二子。 後に『始祖の五兄弟』と呼ばれるはじまりの子供達の紅一点であり、後に槍使いと壊し屋の双流となる『喜家』の始祖。 身長は168cm。 女性としては高身長。 父君の右京より『右』の字を賜り、そこに『人である』事を強調すべくにんべんを足して【佑】。 更に、『どんなに儚い一生であっても、そこに喜びを見出だせる一生であって欲しい』という母の願いを込めた【喜】の字を連ねて名付けられた。 父君である土神・黒鉄 右京に良く似た髪質と中性的な端正な容姿の持ち主で、天界にいた頃より父君にソックリと評判だった。 それは下界に降りた後も同じで、彼女の端正な容姿と誇り高くも穏やかな性格は京の男は勿論の事、娘達をも魅了し、彼女が訪れた先には娘らの黄色い声が絶えなかった。 後の文献は、他の美男子達を差し置いて彼女こそが一族随一の『イケメン』だったと述べている。 勇の一件があった為、新しく生まれた我が子がちゃんと心を持って生まれてきてくれるか不安を抱いていたが、イツ花に連れられ来訪し、母と兄の顔を見るなり心の底から嬉しそうな華やかな笑顔を見せた事でそれが杞憂だったと分かった時、初代当主は泣いて喜んだという。 心の無い勇が心を学ぼうとしたきっかけとなった存在であり、勇は、自分に心を学ぼうと思わせてくれた妹を心から信頼し、きょうだいの中でも特別大事に思っていた。 佑喜もまたそんな兄を心から慕っており、母亡き後当主に就任した兄を良く助け、兄と共に弟達を守り育てた。 だがそんな兄も、当主に就任してから僅か三ヶ月で母の後を追うようにこの世を去る。 みどろ御前との間に授かった我が子を迎える事無く、だ。 当主であった兄の子はまだ到来せず、弟達もまだ幼さを残す。 そんな中、誰が次の当主としてきょうだい達を引っ張っていくかと遺されたきょうだい達が途方に暮れていた中、彼女が凛とした面持ちで顔を上げる。 「私がやります」 「お兄様の子が一人前になるまで、私がこの家と皆を守ります」 こうして彼女は、兄の遺志を引き継ぎ第三代当主に就任した。 当主に就任してからというもの、彼女はより一層懸命に働いた。 兄の忘れ形見である勇永を鍛え上げ、戦場では勇永や弟達を支え、多くの鬼を突き殺す。 まるで、心から慕っていた兄との死別の悲しみから逃れるように。 当主としての重責を紛らわそうとするかのように。 事実そうだった。 弟達や甥の前では強く気高く美しく振る舞っていた彼女は、いつも一人でひっそりと泣いていた。 そんな彼女の弱い一面を知り支えていたのは、イツ花だけだった。 やがて彼女も息子・愛善を授かり、母となった彼女は前線を退く。 面妖なアザを持って生まれたばかりに周囲から奇異の目で見られ、一時はやさぐれてしまう息子を優しく支え、立派に育った弟達や甥を見守る彼女に、最期の時は緩やかに近付いていった。 愛する弟達や甥、そして息子に囲まれながら、彼女は最期に、彼らには見せなかった弱さを打ち明ける。 だが同時に、多くの涙を流しながらも、諦めた事は一度も無かった事を告げる。 姉であり叔母であり母である彼女は、誰よりも強く気高く美しいまま、愛する家族に見守られ、眠るように息を引き取った。 彼岸へと辿り着いた彼女を迎えたのは、彼女が教えた心のまま穏やかな笑顔で静かに労う兄だったという。 |