野畑御一行家系図:春月 初代当主を表示する


春信
月寒 お涼

春月

名前 春月 (ハルツキ)
職業 薙刀士
生年月日 1122年 4月 〜 1124年 1月(享年1歳9ヶ月)
当主経験 10代目当主
メモ 夢:結婚

はじめて会ったときから、何にも代えがたい人だって、ずっと思っていた。
彼女があの人に目を奪われたその瞬間に気付いたのは、あの人がやってきたときでさえ、彼女を見ていた私だけだろう。
あの凛々しい目が、夜鳥子を見るときだけ、少し動揺する、それが少し、我慢できなかった。

ほんの数か月、別れはたったそれだけの時間だと、彼女が言った。
「それがながすぎるんじゃない」
新姫「生きる時間を永いなんていうの、きっとあなたが初めてで、最後よ。…結婚するのが夢なんでしょう?」
――‘誰と’なんて、言ってない。

彼女は子供を持った。
私の必死の抵抗にも構わず、彼女は居なくなって。そのうち、私の体にも蛇の形をした痣が這い上がってきて、最期に見た彼女に、顔が少し似た。のが、少し嬉しかった。

家に来たときにはすでに母親の姿はなく、ずっと庭でたった一人稽古をしていた彼は、御庭番と呼ばれるようになる。
私は、私が、私こそが鬼なのだ。
ごめんなさい新鉄。ごめんね。何度謝っても許されない、目も見ないで声も出さずに謝るわたしはきっと、あなたのことを、まだ名前すらない自分の子さえ、見たくなかったのだから。

「今度ばっかりは、行く先が違うようだね。」
コーちん「当主様だけが、どこに行くと思うの?」
「地の下のずっと下。尽くす人さえ支えられないところに。」
コーちん「行かないよ、春月さまは行かない。人を真摯に愛する人が、そんなところに行くわけがないよ」
神様だって変えられないことなんだから、これは。

コーちん「当主様、お祭りを見に行こうよ。」
どこまでもやわらかく、空々しい笛太鼓が鳴り響き、昼間の白い月へ舞った。
「……綺麗ね。」


月伏